小さな目とか、色の話

私は日本人の両親から生まれ、日本で生まれ育ちました。

そして私の子供たちも日本人の両親から生まれた日本人たちです。

ミックスでもない、見た目そのまんま、東アジア人です。

 

その家族で、白人社会のオーストリアで暮らしています。

オーストリアも移民が多くなってきたのでダークスキンの人たちは珍しくありません。

むしろ街を歩いている比率では20〜30%はダークスキンではないかなと思います。

 

アジア人の私は未だに街中でじっと見られることがあります。

私はその視線の意味を知りません。好奇なのか、嫌悪なのか。

ただ私は生活の中から、この世界がいかに白いことを良しとしているか

感じ取ることができます。

街のポスターから、手に取ったポストカードから、雑貨から、白とゴールドの壮大な建築物から。

いかにヨーロッパ社会において、白いと言うことが最上なのか、

肌の明るい人たちの顔立ちが美しいとされているのか、分かります。

美術館に行ってみてください。白い肌の人たちの精密な肖像画ばかり。

自分たちの姿をあれだけ大きく描いて飾ろうと思うことは、私からすると不思議なのですが、

白人の人たちはキリスト教の神は自分たちと同じ姿をしていると信じているのですから、

やはり肌の白い人たちは自分たちの姿が大好きであるということは予想できます。

 

そしてその価値観は近代の社会で世界中に蔓延しました。

その蔓延した社会で育ったのが私です。

だからKrimgenの絵はそういった美がみて取れると思います。

私自身、仕事を始めた時、私はどの人種の子供たちを描いているのだろうと

悩みました。初めの頃肌の色を塗らないでいたのはその悩みの現れです。

そしてひとまず、全ての人類がミックスされた遠い遠い未来の子供達

を描いていると思うことにしました。

 

一昨年から私はこういった自分に刷り込まれた「白」への美意識を疑っています。

それと同時に、「未来の子供達」としていたものから、

しっかりと現在の子供達を描くべきではないかと思っています。

街ゆく人を眺めていると、肌の色は様々あります。

私がそれらの肌を描けないのは私の力量不足に過ぎないのですが、

私を含め、ダークカラーの肌の人たちを美しく描いた作品があまりに少なすぎることに

最近気が付きました。

 

美術館に行くとごくたまに、18世紀の奴隷の女性を描いた絵などを見ます。

ゴーギャンも褐色の肌の女性をたくさん描いていますね。

でもそのどれも、過度にエキゾチックだったり、はたまたヨーロッパ風に描いてみたり、

アクセントとして(白い肌の人たちの添え物として)描いている風に見えます。

本当にダークスキンの人たちを美しいと思って描いていないように見えるのです。

 

イラストはどうでしょうか。

日本で素敵なダークスキンのイラストを目にすることはあまりありません。

オーストリアでもありません。

では、ないものには挑戦してみたいと思うのです。

 

試みとして昨年末の個展では、3人の天使を異なる人種で描いてみました。

その絵はとても人気でポストカードも完売しています。

でもこれも、自分の中で何かが違い、まだダメだと感じます。

過度に民族的でもなく、現在目に見えている子供達を描くべきです。

 

私の長女はオーストリアで、移民の子どたちの幼稚園に通っているのですが、

そこは本当に色々な肌の子が満遍なくいます。

一緒になって遊んでいます。

それぞれの見た目の違いを口にすることはもちろんあるのですが、

子供達は「そういうもの(違うもの)」だと思って受け入れます。

私の子供も「目が小さい」と友達から言われるのですが、私は家で「目が小さくって、だからこそとても可愛い!」と伝えるのです。

長女が「〇〇は肌が茶色いね」と不思議そうに言った時も「だからとても綺麗だね。」と言っています。

 

今の日本の主流な美意識、私が90年代を生きる上で刷り込まれたあの美意識

「肌が白くて目が大きい方が可愛い」。

その感覚を刷り込まれた私が、そんなことを言っていることを不思議に思います。

けれど、本心でそう思うのです。

黒い肌には黒い肌の、ハニー色の肌にはその肌の、くるくるした髪にはその髪の、

まっすぐな髪にはまっすぐな髪の、小さい目には小さい目の、低い鼻には低い鼻の

それぞれの美しさがあります。

 

それを表現できていない歯がゆさを感じるこの頃です。

 

アラブ首長国連邦の方から依頼されたキャンディボックスのパッケージ(2016年製作)

(この絵は肌の色に不満があります。)

 

2018年製作クリスマスカード(まだ肌の色に不満があります。)

 

 

 

 

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